天命
はじめに
「近くて遠い国」韓国、日韓関係は最悪の状況にあると言われていますが、古代から交流があり共通点の多い文化を持つ国同士なのですから、少しでも関係が改善されるといいですね。
今回は、韓国時代劇ドラマ「天命」(全20話)をご紹介します。
あらすじ
朝鮮王朝第13代、中宗(チュンジョン)王の末期、次の王位継承をめぐって王室と朝廷には不穏な空気が漂っていました。
中宗の継妃の文定王后(ムンジョンワンフ)は、自分が産んだ王子に王位を継がせるため、前王妃の息子で世子(王位継承者)のイ・ホンを、あの手この手で貶め、挙句に暗殺を画策します。
一方、王や王妃など王族の病気の治療と健康管理を担う役所である内医院(ネイウォン)に、チェ・ウォンという医官(医師)がいました。
妻に先立たれた彼は、父と父の後妻、妹、一人娘のランと家族5人で暮らしています。
ところが、最愛の娘は、毎日針治療と薬を飲まなくてはならない重い難病を患っていて、近所の子供達と川で水遊びも自由にできません。
そんな娘の治療のことしか頭にない彼の仕事ぶりは、出世とは無縁な上、同僚の医女ホン・ダインからも、いい加減で無能な役立たずと見下される始末です。
実はそれは彼の偽装で、本当は優秀な医官なのに、愛娘の治療を最優先するため、上官や周囲の目に止まらない程度に無能なふりをしていたのです。
世子は、チェ・ウォンと旧知の仲で、彼の医師としての腕を知っており、自分の力になってほしいと考えていました。
しかし当のチェ・ウォンは、世子の思いをよそに、祖父の死に関わるある事件が原因で、世子に強い不信感を抱いていたのでした。
世子から主治医になるよう打診されても、わだかまりを捨てられないチェ・ウォンはきっぱりと辞退し、主治医には親友のミン・ドセンが就任します。
ミン・ドセンの休暇中に代役を務める約束をしたチェ・ウォンでしたが、当直をしたその夜に世子の住居である東宮殿が火事になり、危うく世子もろとも焼死するところでした。
二人とも難を逃れたものの、世子の命を狙う陰謀に気づかされます。
危険は世子のすぐ近くまで及んでいました。
誠実そうなミン・ドセンは、王妃の手先の都堤調(内医院の責任者)に弱みを握られ、世子を毒殺せよという密命を強要されていたのです。
別の夜、チェ・ウォンは成り行きで立ち入り禁止の書庫にホン・ダインと二人きりでいるところを上官に見咎められ、男女の仲と罰せられる羽目に落ち入ります。
連行されそうになったその時、上官が突然の呼吸困難を起こして倒れ、チェ・ウォンのあざやかな治療によって事無きを得るのですが、ホン・ダインには実力を知られてしまいます。
その日、チェ・ウォンはミン・ドセンに呼び出され会う約束をしていました。
しかし、待ち合わせの場所に親友は現れず、翌日、無惨な刺殺死体となって血のついたチェ・ウォンの手刀と共に発見されます。
チェ・ウォンは殺人犯として、「逮捕王」の異名をとる凄腕の捜査官、イ・ジョンファンに捕らえられてしまうのですが…。
見どころ
中宗は、暴君となった兄、燕山君(ヨンサングン)をクーデターで倒した家臣達から担がれて王になったせいか、弱い立場にあった国王です。
その三人目の正室である文定王后(ムンジョンワンフ)は、“国母”という国中から尊敬される格別の地位にありながら、権力を私物化した悪名高い王妃で、その凄まじい悪女っぷりは見応えがあります。
チェ・ウォンは、絶対権力を敵に回して逃げ切り、親友の死の謎を解き明かし冤罪を晴らして、再び愛する娘ランと一緒に暮らすことができるのでしょうか。
また、王位をめぐる勢力争いと陰謀の果てに次の王位に就くのは誰でしょうか。
中宗代に実在した盗賊イム・コッチョンを思わせる盗賊のコクチョン、王の主治医である御医女としてチャングムも登場し、多彩な脇役陣の活躍も見逃せません。
かわいい子役たちにも注目です。
チェ・ウォンとホン・ダイン、妹のウヨンとイ・ジョンファン、コクチョンと盗賊の娘ソベクの恋の行方も見どころです。
出演者と主な出演作品
チェ・ウォン/ イ・ドンウク トッケビ~君がくれた愛しい日々~,風船ガム,ライフ
ホン・ダイン/ソン・ジヒョ 宮~Love in Palace~,階伯(ケベク)
イ・ホ/イム・スロン ホグの愛,ホテルキング
イ・ジョンファン/ソン・ジョンホ 王女の男,怪しい家政婦
文定王妃/パク・ジヨン 王妃チャン・ノクス~宮廷の陰謀~,麗〈レイ〉~花萌ゆる8人の皇子たち~
まとめ
朝鮮王朝時代の医官や医女という職業は、知的技術職でありながら”士農工商”の”工”にあたり、官庁に勤めているとはいえ労働者階級なので、身分の高い人々ではありませんでした。
王と王妃、王子と王女、大臣や貴族などが主の華麗な宮廷絵巻も良いですが、彼ら支配層の周りで働いている下級官吏、技術者などの庶民の暮らしに目を向けたドラマも増えてきたように思います。
これからの時代劇の幅を広げてくれると期待しています。
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