小説紹介

看護師の起こした殺人事件「黒い看護婦福岡四人組保険金連続殺人」

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この度の豪雨で被災された皆様には心よりお見舞い申しあげます。

 

横浜の病院で連続死

横浜の病院で点滴に消毒液が混入され、患者さんが相次いで亡くなり、容疑者として看護師が逮捕されるというショッキングな事件がおこりました。

これが本当なら、白衣の天使ともいわれる看護師さんが殺人鬼となります。うそであってほしいです。

今日は今回の事件とはちょっと違いますが、看護師さんが起こした世間を騒がせた事件についての本です。

 

この本の作者はどんな人

福岡出身のノンフィクション作家 森功さんです。週間新潮の編集部などを経てノンフィクション作家になられました。『悪だくみ「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大矢壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞を受賞されています。

お金や権力にとりつかれた組織や個人について厳しく書かれた作品が多数出版されています。

ご自分のブログにもいろいろ書いていらっしゃいます。 http://mori13.blog117.fc2.com/

 

この本について

2004年に発覚した実在の事件のノンフィクション作品です。

森さんは発覚から判決が出されるまで取材されました。週間新潮等にレポートが連載され、その後単行本として新潮社から2004年に出版されました。

ナースさんは、現在「看護師」ですが、以前は「看護婦」の名称でしたので、この本も「看護婦」となっています

 

事件の概要は?

福岡県久留米市が舞台です。同じ看護学校を卒業した4人の看護師は、主犯格の女性と共犯の3人の女性です。

1998年に共犯の3人の夫の一人に睡眠剤入りビールを飲ませて眠らせ、さらに静脈に空気を注射して殺害、保険金を受け取りました。

1999年には別の夫に洋酒や睡眠薬を飲ませ、さらに鼻からチューブを挿入し大量のお酒を注入し殺害し保険金を受けとりました。

2000年には、共犯の3人の母親の一人から預金通帳を奪おうと自宅に押し入りインスリンを注射し殺害しようとしたが、未遂となりました。

他に同僚から多額の現金をだまし取ったりしています。

受け取った保険金などは主犯格の女性がほとんど手にしており、他の3人を巧みに操り共犯者にしていきます。

主犯格の女性が共犯の1人から実家の土地を取り上げようとしたことで、事件が発覚しました。

2015年にはフジテレビでドラマ化されました。大竹しのぶさんが主演されています。 www.fujitv.co.jp/kuroi_kangofu/ – キャッシュ

 

あらすじ

この事件についてのルポです。特に主犯格の女性については、育った家庭環境から性格、細かいエピソードまで取材しています。共犯の3人についても取材を重ね、この4人の異様な関係を浮かび上がらせていきます。そして重ねる恐ろしい犯罪が明らかになります。

 

感想

4人の看護師が医療知識や技術を悪用し殺人を犯していきますが、被害者はこの4人の身内に限られます。今回の横浜の病院とは全く異質の事件です。今回の事件は報道されていることが事実だとしたら、無差別殺人です。

主犯の女性は面倒見がよく、言葉巧みで人の心をつかむ能力があります。

彼女の生い立ちなどを森さんは丹念に取材されています。不幸な生い立ち、子どもの頃から虚言癖があったことなどが明らかになっていきます。

彼女が「黒い」と言えば、白いものも黒く見えてしまうような、一種のパワーがあったのでしょうか。そして金銭欲が異常です。きっと他人はみんなお金に見えていたのでしょうね。共犯者の女性たちのことも、バカなカモと思っていたのではないでしょうか。弱さや優しさなど一切ない人間のように書かれています。

読んでいる限りかなり胡散臭い人物に思えます。なんで他の3人は彼女に騙されちゃったのでしょうか。何も見えなくなっていたのでしょうか。

きっと3人は主犯の女性に心を掴まれていたのでしょう。

この4人の関係はドロドロしています。読んでいて、下手な男女のお話よりかなり強烈です。主犯の女性は絶対君主のようで、他の3人は引きずられるように殺人を犯していきます。一種マインドコントロールされていったような感じでもありますが、なぜ立ち止まれなかったのでしょうか。

自分で考えることはなかったのでしょうか。みんなナースさんでしょう。ナースさんって患者さんのことを本人以上に考えてくれるのに、どうしてこんなことができたのでしょうか。

それほど主犯の女性の影響力は強かったのだと思いました。

主犯の女性に会わなければ、ひょっとしたら、あとの3人は普通の人生を送っていたのかもしれません。でも取返しがつかないですよね。

自分の夫をみんなで殺す気分はどんなだったのでしょう。

殺人事件のルポなので、読後は暗い気分でした。

 

最後に

看護師のスキルを殺人に使った女性たち、主犯の女性はすでに死刑が執行され、一人は病死しています。 4人は何のために苦労して看護師になったのでしょう。看護学校の戴帽式の頃、こんな未来が待っているとは思いもしないことだったでしょう。卒業後の再会が人生を狂わせてしまいました。

もちろんこの人達は普通ではありません。私たちのまわりの看護師さんたちは、身を粉にして患者さんのために働いてくれています。看護師さん、いつもありがとうございます。

 

 

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