二人の王に愛されて… 😢 七日の王妃
朝鮮王朝第10代目の王・燕山君と11代目王・中宗。この2人の王に愛された故に悲運に見舞われ、たった七日間だけ王妃になった女性との愛と苦悩の物語です。
- あらすじ
左議政シン・スグンの娘チェギョンはある日、両親の住む漢陽(ハニャン)の都に男装をして上京します。
街中で偶然イ・ヨク(後の中宗)と出会いますが、店で手に取った水差しを横取りされて憤慨し、その時のヨクの印象は最悪のものでした。
チェギョンが両親の家に帰ってみると、なんと大妃が晋城大君を連れて訪れており、チェギョンと大君の縁談の話が持ち上っていました。
その大君こそ、街中で出会った最悪の男イ・ヨクだったのです!
一方、10代目王・燕山君は、亡き父王が弟のヨク(晋城大君)に王位を継がせるつもりだったことを根に持ち、何かにつけてヨクに冷たく当たっていました。
そして父の遺言の存在に怯え、自分に逆らう者は容赦なく殺す暴君となっていました。
ある日燕山君が、気晴らしに馬に乗り出かけた先で、偶然にもチェギョンと出会います。王とは知らず生意気な口をきき、強引な態度のチェギョンに、燕山君はなぜか安らぎを覚えるのでした。
後日ヨクとチェギョンは、ソノという少年を助け、同年代の3人は打ち解けて友だちになります。
しかし、昔父王の史管であったという理由でソノの父親が燕山君に捕えられたことを知ったヨクは、罪のないソノの父を助けてくれと訴えます。
それに怒った燕山君は、ヨクの王子の座を廃して流刑地に送り、ヨクとチェギョンは別れ別れになってしまいました。
流刑地に送られる途中で殺されかけたものの何とか命を取り留めたヨクは、5年後、久々に都に戻り、ミョンヘという女性の商団で旧友たちと働きながら燕山君への復讐心に燃えていました。
死んでしまったヨクのことをいつまでも忘れられずにいたチェギョンは、ある日、酒屋でヨクを見かけ衝撃を受けますが思い切って声をかけます。
「自分はナクチョンという別の人間だ」と言い張り、冷たい態度をとるヨクに戸惑いながらも、チェギョンはやはり彼はヨクだと確信するのでした。
その頃“タニシ”という秘密組織が貧困にあえぐ民に米や食料を配り、世間を騒がしていました。
“タニシ”の首長が盗賊ナクチョンだという噂を聞きつけた燕山君は、側近が
「ナクチョンの逃亡を助けた」としてチェギョンを捕えたので問い詰めますが、チェギョンは「一切知らない」と答えます。
そこで、ナクチョンをおびき出すおとりとしてチェギョンは木に縛りつけられます。それを知ったヨクは、必死に彼女のもとへ駆けつけて自ら王宮に姿を現し
王や官僚たちの前で、自分が生きていたことを明かします。
燕山君は怒りに燃えたぎりますが、臣下たちの前では生きて戻った弟を歓迎するふりをし、ヨクを王子に復位までさせます。
そしてチェギョンと結婚したいというヨクの願いを聞いて動揺しますが、ある魂胆を胸に秘めつつ、2人の結婚を許可します。
チェギョンの父シン・スグンは「娘が王宮の者と婚姻すれば王宮に血が流れる」という不吉な予言があったことをチェギョンに話し、それを聞いたチェギョンは、この婚姻によってヨクの身に危険がふりかかるのでは…と悩み苦しみます。
また燕山君も2人の結婚を許したものの、激しい嫉妬にかられ、チェギョンに対する自分の恋心に苦悩します。
燕山君から、間者になってヨクの行動を監視しろと命じられたチェギョンは、ヨクと結婚するには仕方ない…とこの命令を受けることにし、2人は婚礼をあげることになりました。
ところが婚礼の当日、式には遅れてきて、しかも怪我をしているヨクを見てチェギョンは不安を抱き、本当のことを話さないヨクに対して疑いの気持ちが生まれます。
後日、燕山君から「質店が怪しい」と聞かされて、そこに忍びこんだチェギョンは、ヨクが謀反を企てている証拠を目にして衝撃を受け、あまりの心の負担に気を失ってしまいます。
ヨクの企てを知ってからは周りの人すべてが信じられなくなり、不安な毎日を過ごすチェギョンでしたが、心を強く持ち愛するヨクを燕山君から守る決意をします。
燕山君は父の遺言を記した密旨のありかを必死に探し求めていましたが、皮肉にもチェギョンの体に彫られた入れ墨が密旨の手がかりであると、チェギョン自身もヨクもまもなく知ることになります。
そのことにより、チェギョンの身の危険を感じたヨクは、王位を継ぐ権利は兄に譲りチェギョンと都を離れると宣言しますが、このままヨクを行かせるつもりのない燕山君は、タニシの仲間や民を次々と惨殺し、ヨクが都に留まり自分に逆心を向けるよう罠をしかけます。
まんまと罠にはまったヨクは逆賊として、チェギョンはその妻として投獄されますが、今こそ王位を奪う機会だと意を決したヨクは反乱軍を結集し、宮殿を制圧します。
そして燕山君を廃位に追い込み、ヨクは11代目国王となったのです。
その反乱のさなか、チェギョンの両親は殺害されてしまい、ヨクがそれを指示したと思いこみチェギョンは泣きくずれます。
しかし後に誤解であることが分かり、王妃として彼と苦難を乗り越えていくことを誓いました。
ところがチェギョンが王妃になることに猛反対する副總管パク・ウォンジョンの罠により、燕山君の逃亡を助けたという罪でチェギョンは処刑台に立たされる羽目になり、たった七日間の王妃の座から引きずり降ろされてしまいました。
ヨクは間一髪のところでチェギョンの処刑を止めることができました。
チェギョンの処刑を耳にした燕山君も彼女の汚名をすすぐため、自ら流刑地に戻ります。そして逃亡する際に受けた傷が元で、ヨクの目の前で息を引き取りました。
中宗王の時代は、その後38年間続きました。
ヨクとチェギョンは共に生きることは叶いませんでしたが、お互いの愛を胸にしまったまま、別々の人生を歩んだのでした。
- 見どころ
韓国時代劇は数多くあれど、このドラマは歴史的な政変や王位をめぐる争いよりも、シン・チェギョンという1人の女性を愛した2人の王のラブストーリーがメインになっています。
燕山君と中宗(イ・ヨク)の心の葛藤が繊細に描かれ、兄弟でありながら憎しみあうことになった2人の悲しい運命に心動かされます。
そしてその2人の王に愛されたチェギョンの甘く、せつなく、苦しい胸の内にも多くの人が涙することでしょう。
大御所イ・ドンゴンが冷酷で残忍な燕山君を演じ、叶うことのない恋に身もだえる姿は圧巻です。
それに対し、ヨクとチェギョンは若手俳優ヨン・ウジンとパク・ミニョンが演じ新鮮な風を吹きこんでいます。
もしヨクが王位継承者でなかったら、恋人として夫婦として愛を育てていったであろう2人が、燕山君という存在によって度々命を狙われ、王や臣下たちの欲望の渦に巻き込まれてしまったことが気の毒でなりません。
そんな宿命に翻弄されながらも互いへの想いを貫いたヨクとチェギョンの愛の物語に心が震えます。
➂感想
朝鮮王朝の歴史の中で、燕山君は暴君としてあまりにも有名です。
ドラマの冒頭から罪のない臣下や民を殺す残忍な場面が登場し、思わず目を覆ってしまいました。
父に母に愛されなかった悲しさ、苦しさがここまで心を歪める原因だったのでしょうか。
「弟はあんなに可愛がられているのに、自分だけ何故?しかも弟に王位を継がせる?とんでもない!」という気持ちは、王族ならずとも一般家庭の中にもありうることですよね。
少年少女の頃の、ヨクとチェギョンの恋は初々しく微笑ましいものでした。
その後、死んでしまったと思っていたヨクと再会するまでの5年間もお互いの想いが消えることなく続いていたのは、まさに運命の相手だったのでしょう。
そんな2人の中に割って入ろうとした燕山君、チェギョンを自分のものにしたいと欲にかられた燕山君が多くの悲劇を生んだのです。
どの時代でも、どの国でも、王族に生まれたゆえの重責や哀しみからは逃れられないのかも知れませんね。
まとめ
七日間というあまりにも短い期間、王妃の座にいた端敬王后シン氏。
この有名な歴史的史実をもとに作られた極上のラブストーリーでした。💛
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